カサンドラ症候群

カサンドラ症候群

皆様はカサンドラ症候群という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?

カサンドラという名はもともとギリシャ神話に登場するトロイ王の娘カサンドラの悲劇に由来します。
大変魅力的なカサンドラ妃はアポロンの求愛を断った腹いせに、自分の予言を信じて貰えないという呪いをかけられてしまいます。
それ以来、カサンドラは自分のいう事が誰にも信じて貰えないというもどかしさに苦悩を重ねることになります。

こうした、精神的な苦しみが、例えばアスペルガー症候群(専門家の間では近年自閉症スペクトラム ASDといわれていますが)などに代表される共感性に乏しい、情緒的な表現に問題を抱えている人のそばにいると抱えてしまう心理状況に似ていることから比ゆ的に使われ始めました。

カサンドラ症候群という臨床概念が世に認知されたのは1988年の事で、一般の方々にも知られるようになったのはここ10年ほどの事です。
従来の医学的なカテゴリーで診断するとうつ状態、適応障害と診断され症状が出ている人が患者としてみなされ、症状と取り除く投薬や支援が先行していた傾向があります。

まして、パートナーが職場では何とか問題を起こさずに機能していたり、ましてや社会的に地位の高い職種についていたりすると、増々問題の本質から遠のいてしまいます。
あんなにまじめで温厚な旦那さんなのに何の文句があるのだというふうにさえ言われてしまいます。
そして夫からも、「きちんと働けているのだから自分サイドには何も問題ないのだ」と言い切られてします。
従って、妻側にしたら家庭においてどうしてまるで職場の女性スタッフか秘書の様な気配りをしなければならないのか、また母親の様な対応をしなければ夫婦関係が継続できないのかと思うでしょう。

いつも面倒を見てばかり。たまにうまくいったときは、感謝どころかそこは夫の手柄というようなことの繰り返しでは心の休まることがありません。
それどころか慢性的な疲労感と達成感のなさで、心身共に疲れ果ててしまうのです。
熟年世代になって子育てを終えてふと自分の人生を振り返ってみた時に、私はいったい何だったのだろう、子供のために頑張ってきたけれど、この先夫と一緒に過ごせるのだろうか?
この人の為に、看護や介護なんて絶対無理!と思うのも当然の事だと思います。
誰ならわかってもらえるのか?このような二重の苦しみ、カサンドラ症候群の苦しみは長期にわたり根が深いものなのです。
サイコセラピーを通して、苦しみの構図が明らかにされればどんなに胸のつかえがとれるのか、多くの皆様にお伝えしたいと思っております。

大人の発達障害

発達障害は、先天的な脳の機能障害です。
遺伝的、環境的な複数の押印が複雑に絡み合っていると考えられていますが、まだその全貌すら明らかになっていないのが実情です。
元々は子供の発達上の問題として取り扱われてきましたが、2005年に発達障害支援法が施行されて以来、大人の発達障害という概念が拡ってきました。

子供の場合ですと早期発見、早期療育をとりいれ、学校や家庭でも一つの個性、特性として受け入れやすいのですが、大人の発達障害はなかなか自分でも、また周りでも認識される事が難しいのです。
学生時代には目だった問題はなく、むしろ成績優秀であったり、頑張り屋という印象で、一目置かれていたりします。

高学歴を目指して、さらに受験生活という隠れミノの元、青年期に必須な友人関係や恋愛関係を構築しなかったとしても奇異には見られません。
ところが社会に出て、仕事をスムーズにこなしていくためにコミュニケーション能力を必要とされるようになって初めて問題が露見してくるのです。
自分が努力さえしていれば、必ず結果を出すことができていた学生時代と違って、人は思うようには動きませんし、評価は自分の思った通りに得られるとは限りません。

職場で癇癪を起こしても、誰も間に入ってとりなしてくれるような立場の人はなかなかいません。皆様の心が完全に折れてしまう前に是非ともご相談ください。
一方で、ご相談者様ご自身の職場でのコミュニケーション能力に改善の余地がある場合もあります。
少しでも職場で上手に言いたい事を伝え、また自分を守っていく人間関係の構築の為に、その方法を検討していきましょう。

自分では気が付かなかった言い方のパターンや人に誤解されやすい癖等が見えてくるかも知れません。
又、逆にそうしたコミュニケーションスキルの下手な上司の元で働くことになってしまったら、心身ともに壊れてしまいます。
叱責されるたびに、ご自分を責めたり自身をなくすことが無いように、そういう環境から身を守るためにもご一緒に対策を立てていきましょう。

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